祝詞(のりと)は純日本語です

祭典の時、神職が神前で礼拝対象に対して奏上する言語はヤマト詞(ことば)で構成されている純然たる日本語です。
現代の日本語は平安時代以降の漢字の移入、漢音の発音(中国の唐時代の発音です)、長い鎖国時期を経て明治時代には現代と同じ日本語になったとされます。
確かに明治時代の音声を記録した畜音源によると、ほぼ同じです。
では江戸時代以前はどうだったのでしょうか!?

江戸時代以前は畜音源がないために、言葉の詳細を解読することはできませんが、書き言葉と口語は異なって発展してきた歴史性を考えると、明治時代に急に現代の言葉に変わったとも考えにくく、口語に関してはほぼ同じであったと考えます。
しかし、日本は平安時代以降、文書の言葉と話す言葉は違っていたので文書から解明し、実証することはできません。

恐らく話し言葉で最も古い書物は古事記で、書き言葉に移行したかなり初期の段階の書物は日本書紀です。

また、神前で奏上される祝詞に関してはかなり古いものでは延喜式(という平安時代の法律の施行細則)に収録されているものがいくつかあり、ほぼ古事記と同じ言語を用いています。

が、江戸時代には当家に伝わる大工の祝詞がありますが、かなり現代のものとは異なり、音読が多く用いられていたようで、礼拝対象も明治時代以降の神々とはずいぶん異なっていたようです。

江戸時代の公文書(幕府文書)には『御座候(ござそうろう=ございますよって)』や『之如件(これくだんのごとし)』などの文語慣用句は口語には用いられなかったと考えます。

普通に水戸黄門が『助さん、角さん、やってしまいなさい!』という例の結構無茶苦茶なじいちゃんの名台詞が結構マトを得ているんじゃないかと。

また、祝詞は文法や文章は古代語ですが、発音は結構違っていたようです。
が、2000年前のことなので、そこは仕方がないかな、とも思います。