日本人の思いやり

昔の日本は優しかった
昔々、江戸時代の頃に一人の御婆ちゃんが居ました。おばあちゃんはもう高齢で足も悪く、「あ~あ、一度は出雲大社にお参りに行きたかったな~」と常に思っていました。
ある日御婆ちゃんは、手に乗るほどの小さな船に、出雲大社の神様に宛てた手紙と、小さなお賽銭を入れて、裏の川に流しました。
...
半年後、なんと1000キロ以上離れた出雲大社にその船が到着しました。
これは奇跡ではありません。本当の出来事で、その船と手紙が現在も出雲大社に保存してあります。
現実にはこういう事だったと分析されています。
そのお船は、意外と早く人に拾われたのでしょう。
『あれ!可愛い船が流れて来た。何だろう!?』と拾った人は中を見ると、ひとりの老人が出雲の神様にあてた手紙とお賽銭が入っていました。
『じゃあ俺が街道まで持って行ってあげよう』
と、街道まで誰かが持って行ってあげました。
「西へ行く人、この船を持って行っておくれ!」と書き添えて街道に置いておくと、旅の人がそれを見て、中を見ると神様にあてた手紙とお賽銭が入っていました。 
『じゃあ俺が大阪まで行くので持って行ってやろう』
と。大阪の辻に
「西国へ行く人、この船を持って行っておくれ」と書き添えておいて行ったと。
次の人が
『じゃあ私が岡山まで持って行ってあげよう』
次の人が
『じゃあ俺が松江まで持って行ってあげる』
最後の人が
『ちょうど出雲大社にお参りするつもりだったから一緒に持って行ってあげるよ』
という具合で次々と人から人へと引き継がれ、ついに1000キロ以上離れた出雲大社に到着した、ということです。
お手紙と、最初よりもずいぶん増えたお賽銭が添えられていました。
昔の日本人はこんなに優しかったのです。
今は色々物騒な世の中で、なかなかこのようにはいきませんが、今でも日本人はこうした思いやりの心は健在だと、私は信じてやみません。