日本の敬礼作法

日本の精神性に大きくかかわる理念の一つに「敬いの心」と、日本人と武士道について、一人の立派な日本人を一例に振り返ってみましょう!

世界中に敬礼作法はありますが、今回は日本の敬礼作法について触れて行きます。

まず、一番最初に現在、敬礼をしている人はパッと思い出して、どの人が行なっているでしょうか!?

わりと身近なのは警察職員ですよね! 警察職員は一般に「警察官」と呼ばれていますが、現在は身近に見る署長以下巡査まで、本部でも警視監・監察官 以外の人は都道府県の警察職員ですので国家公務員の「官」ではないので県職員です。
この点で官ではない人も敬礼をするということがあるということです。



イメージ 1

こちらの眼光鋭い方は帝国陸軍小野田寛郎 太大人(おおうし=神道で最も尊敬する人に贈られる尊称)です。
この方はフィリピンの山奥で約40年もの間、一人で昭和49年まで任務を遂行していました。
投降や捜索の呼びかけにも一切応じることなく戦い続けていたのですが、昭和49年に上官が現地に赴いて任務解除の命令を下達してようやく任務を終了するという徹底ぶりでした。
画像は解除命令直後の様子で、下達後に軍刀の佩用を解いたばかりで、太大人52歳でした。

とても52歳に見えない鋭い眼光と凛とした姿勢、これが帝国陸軍の「挙手注目の礼」です。


イメージ 2

こちらはおなじみ(伝・聖徳太子・ 隋 二童子)ですが、笏を持つものは正笏(しょうしゃく)・注目の動作、これが敬礼です。両脇の童子はまだ冠を付けていないので成人前の子供なので、叉手(さしゅ=手を組む)・注目の礼、これが敬礼になります。

敬礼に重要なのは官帽(官位を示す帽子)を装着している時は頭を下げる礼はしない、その代わり、武器を持っていないこと(右手がカラであること)、その手を眼前にかざして手がカラであることを示すこと。

古代においても冠(これも官帽と全く同じ)を右手には笏(板)を持っていること、それを体の前に正して両手を組む(正笏)。最敬礼の時には笏をそのまま目の高さまで上げることとなっています。
笏を持たないものはまだ子供なのでそれ程の殺傷能力はないとみられ、両手を組んで体の前に胸の高さまで掲げることによって、武器を持っていないこと、そして相手の目を見て不穏当な挙動をしないことをアピールしています。

この点、武士は常時戦えることでその地位を評価されていたので、笏も持たされず、いつでも戦えます。そのかわり、片膝をつく蹲踞(そんきょ=しゃがむ)姿勢で目を合わせることを厳しく禁じられたり、槍は下に向ける、馬上の武士は鐙(あぶみ=足を掛ける馬具)から足を外す、等々、戦闘能力を鈍化させるということが、上位者に対する敬礼とされます。