陛下・殿下・閣下の『下』とはどういう意味?

ある友人から陛下・殿下・閣下の『下』とはどういう意味か聞かれました。

もともと日本ではとても偉い人に話しかけることを、大変恐れ多く、遠慮すべきであると考えられてきました。
もし仮に偉い人から直接話しかけられてしまった場合、無視するのもそれはそれで恐れ多いので蹲踞(そんきょ=しゃがむ姿勢)をとって『おお』と、控えめに返事をします。これは、唯称(いしょう)という返事の仕方です。現在でも大祓式の大祓詞のように途中途中に「みんな解ったか?(という意味)」の文言で問いかけると、神職らは短く「おぉぉ」と答えます。

という風にこちらから話しかけることができない風習なので朝廷では伝奏(てんそう)に話し、その伝奏が話を聞き天皇陛下太上天皇上皇)に伝えてもらいます。この伝奏の人を天皇の場合、御座(みくら)のもとにいる人だから、直接『みかど~~』と呼ぶのは失礼だから『陛下』とお呼びするのです。

殿下もそれと同じで殿上人(てんじょうびと)に直接『ちょっと~~、御殿の上の太政大臣さ~~~ん!!あのね~~~!』と言うわけにいかないので伝奏の人を介して殿下、と呼びます。

では直接偉い人に『殿下、申し上げます』というシーンも目にしますが、伝奏をいることにして直接話す場合もあります。しかし、必ず控えの者が同席しているはずですので、直答を許されていることが前提となってのことだと思います。

閣下も議会に出席する偉い人なので、道で『ちょっと、そこの大臣、、あのね~~』と言うわけにもいかないので、侍史(じし=書記官)のことを指して閣議のふもとの人を指して「閣下」と申し上げます。
今でいう秘書でしょうね。

この、『おそばに使える人を挟んで、謹んで申し上げます』の意が礼儀を尽くした尊称、の「下」の字に通じるのです。